【英語×オランダ語】『Jip en Janneke』で学ぶ「頭を突っ込む」「走ってやってくる」の表現

今回は「Jip and Janneke play together(Jip en Janneke spelen samen)」から、例文をとりあげます。表現やフレーズを学ぶ(体感する)うえで、文脈はとても大切です。著作権保護のためエピソード全文の掲載はできませんが、ぜひ図書館や書店などでお求めください。
外部リンク 書籍案内:オランダ語版『Jip en Janneke』 (bol.com)
[概要 / 抜粋文]Auteur:Annie M.G. Schmidt | Serie:Jip en Janneke | Taal:Taal: NederlandsNederlands
外部リンク 書籍案内:英語版『Jip and Janneke』 (bol.com)
[概要 / 抜粋文]Auteur:Annie M.G. Schmidt | Serie:Jip en Janneke | Taal:Taal: NederlandsNederlands
外部リンク 読み上げ:オランダ語
[概要 / 抜粋文]Provided to YouTube by CNR Music (NL) B.V.
広告
1. pushed through は「通り抜けた(やり抜いた)」とは限らない?
例文:He pushed his head through the hole first.
🇬🇧 He pushed his head through the hole first. And then one arm. And then the other arm. And then he got stuck.
🇳🇱 Hij stak eerst zijn hoofd door het gat. En toen zijn ene arm. En toen zijn andere arm. En toen zat hij vast.
語順:[en] SVOM / [nl] SVR
🇬🇧
語順:【 S: He 】+【 V-main: pushed 】+【 O: his head 】+【 M: through the hole, first 】
時制:過去形
態:能動態
🇳🇱
語順:【 X=S: Hij 】 + 【 V-front: stak 】 + 【 R: eerst, zijn hoofd, door het gat 】 + 【 V-back: (なし) 】 + 【 E: (なし) 】
時制:過去形(Onvoltooid Verleden Tijd)
態:能動態
🇬🇧
語順:【 M: And then 】+【 S: he 】+【 V-main: got 】+【 C: stuck 】
時制:過去形
態:能動態(意味上は状態・受動的)
🇳🇱
語順: 【 X=R[1]: En toen 】 + 【 V-front: zat 】 + 【 S: hij 】 + 【 R: vast 】 + 【 V-back: (なし) 】 + 【 E: (なし) 】
時制:過去形
態:能動態(意味上は状態)
語彙
🇬🇧
pushed (push)
品詞: 動詞(他動詞・過去形)
日本語訳: 押し入れた、押した
through
品詞: 前置詞
日本語訳: 〜を通して、〜をくぐり抜けて
got stuck (get stuck)
品詞: 熟語(動詞 get + 形容詞/過去分詞 stuck)
日本語訳: はまり込んだ、動けなくなった
🇳🇱
Hij
品詞: 人称代名詞(三人称単数・男性・主格)
日本語訳: 彼
stak (steken)
品詞: 動詞(強変化他動詞・三人称単数・過去形)
日本語訳: 差し込んだ、突っ込んだ
eerst
品詞: 副詞
日本語訳: 最初に、まず
zijn
品詞: 所有代名詞(三人称単数男性/中性)
日本語訳: 彼の
hoofd
品詞: 名詞(het名詞・単数)
日本語訳: 頭
door
品詞: 前置詞
日本語訳: 〜を通して、〜を通って
het
品詞: 定冠詞(中性単数)
日本語訳: その
gat
品詞: 名詞(het名詞・単数)
日本語訳: 穴
En
品詞: 等位接続詞
日本語訳: そして
toen
品詞: 副詞
日本語訳: その時、それから
ene
品詞: 数詞 / 数形容詞(een の強調形・付加的形)
日本語訳: 片方の、ある一つの
arm
品詞: 名詞(de名詞・単数・男性/女性)
日本語訳: 腕
andere
品詞: 形容詞(付加詞形)
日本語訳: もう一方の、ほかの
zat (zitten)
品詞: 動詞(強変化自動詞・三人称単数・過去形)
日本語訳: (〜の状態に)あった、座っていた
vast
品詞: 形容詞 / 副詞
日本語訳: 固定された、はまった
vastzitten (zat vast)
日本語訳: はまる、動かなくなる、引っかかる
品詞: 分離動詞(自動詞・過去形)
使えるシーン
淡々と区切って叙述!
何がどうしてどうなったかを伝えたいときに、使えそうな表現ですね!「まず頭を入れた。そして片方の腕。そして他方の腕。そして詰まった。」無理に一文に押し込むより、淡々と区切って叙述する。第二言語として話す者の場合、このほうがよく伝わることもありますよね。
pushed through は「押し込んだ」だけ?
through が「〜をくぐり抜けて」などと訳されるので、pushed through には、「押し進んで通り抜けた」という通過のイメージを持っていたのですが、そうとも限らないようで!ここでは「押し込んだ」だけであり、通り抜けできずに、結果として詰まってしまってます。
通り抜けた場合は、all the way through あるいは、got through とすれば明確です。両者のニュアンスの違いは次の通り。
- push through: 力をかけて押し進める「動作・過程」に焦点があります。そのため、途中で詰まる(got stuck)展開と矛盾しません。
- get through: 難所を通り抜けて反対側に出る「結果・到達」に焦点があります。完了を明確にしたい場合に適しています。
オランダ語の stak ... door(原形: steken door)も、英語の push through と同様に「〜を通して差し込む/押し入れる」という動作・過程に焦点があります。
- steken door: 穴や隙間に「突っ込む、通す」(結果として通り抜けたかどうかは問わない)
- erdoorheen komen や erdoorheen raken: 「(難所を)通り抜ける、向こう側へ出る」(結果・到達に焦点)
ちなみに、through は、トンネルやパイプのように「反対側へ通り抜ける(貫通する)」空間に対して使うのが原則です。行き止まりになっている窪みや袋状の巣などには、into や in を使います。
オランダ語も同様に、反対側に抜けられない場所(巣、ポケット、行き止まりの穴など)に「差し込む・突っ込む」場合は、door ではなく in や in…steken を使うそうです。
広告
2. 「走ってやってきた」情景描写の幅を広げる熟語
例文:Jip's father came running up in one garden.
🇬🇧 Jip's father came running up in one garden.
🇳🇱 Daar kwam Jips vader aangelopen in het ene tuintje.
語順:[en] SVM / [nl] RVSRE
🇬🇧
語順:【S: Jip's father】+【V-main: came】+【M: running up, in one garden】
時制:過去形
態:能動態
🇳🇱
語順:【X=R[n]: Daar】+【V-front: kwam】+【S: Jips vader】+【R: aangelopen】+【V-back: *】+【E: in het ene tuintje】
時制:過去形
態:能動態
語彙
🇬🇧
running up
例文の構成要素: M (Manner)
品詞: 熟語 / 分詞句(動詞 run の現在分詞 + 副詞 up)
和訳: 駆け寄って
🇳🇱
Daar
例文の構成要素: X = R[1] (Place / 指示副詞)
品詞: 副詞
和訳: そこで / そこへ
kwam
例文の構成要素: V-front
品詞: 動詞(komen の過去形・3人称単数)
和訳: 来た
Jips 例文の構成要素: S(名詞句の一部)
品詞: 固有名詞・所有格(Jip + 語尾 -s)
和訳: イップの
vader 例文の構成要素: S(名詞句の中核)
品詞: 名詞(男性・単数)
和訳: 父親
aangelopen (原形: aanlopen)
例文の構成要素: R (Predicate / 運動の様態を示す過去分詞)
品詞: 熟語・分離動詞(aanlopen の過去分詞)
和訳: 走って / 駆け寄って
in
例文の構成要素: E (Place / 前置詞句の構成要素)
品詞: 前置詞
和訳: 〜の中に
het
例文の構成要素: E (Place / 前置詞句の中の定冠詞)
品詞: 定冠詞(中性・単数)
和訳: その
ene (原形: een)
例文の構成要素: E (Place / 前置詞句の中の形容詞的用法)
品詞: 数詞 / 限定詞
和訳: 片方の / ある
tuintje (原形: tuin)
例文の構成要素: E (Place / 縮小形名詞)
品詞: 名詞(中性・単数・縮小形 tuin + -tje)
和訳: 小さな庭
使えるシーン
小さな子供が発する「Help!」で、親が came running up するのは、よくある光景。このまま、使えますね。
ほかには、"I lost my key, but my neighbor came running up to help me."(鍵をなくしたけど、近所の人が走って駆けつけてくれたんだ。)なんて言えたら、助けてくれた近所の人の「尽力」や「親切」に焦点が当たる感じがしますね。
came なら「来た」だけど、そこに running up という様態を添えられるということです。どんな風に来たかバリエーションを増やすと、表現の幅が広がりそうですね。
オランダ語にも同じことが言えて、aangelopen を添えるか添えないかで違いがでるし、ここを言い換えればバリエーションを増やせますね!
"Daar kwam Jips vader in het ene tuintje."
"Daar kwam Jips vader aangelopen in het ene tuintje."
英語: come + -ing(動作の様態を付加)
オランダ語: komen + 過去分詞(aangelopen や aanrennen などで様態を付加)
このパターンをストックしておくと表現の幅が広がります!よっしゃ。
いろんな意味で気になった表現
昭和感が漂う "like a good boy"
本文中に Jip のお父さんの "You have to go out the front door like a good boy" というセリフがあります。推奨される行いが具体的に示されているので子供には分かりやすく、その点はいいなと思ったんですが、最後の like a good boy に時代を感じました。
- You have to go out the front door(具体例)
- 「何をすべきか」という具体的な行動を示しているため、子どもにとってもわかりやすく、実行しやすいですね。
- like a good boy(価値観の付加)
- ここに違和感を生じます。「玄関から行く=いい子」という条件付けになってしまっていて、「庭の生垣から行く=悪い子」という人格評価の対立軸を暗に作り出しています。
いわゆる「自己肯定感」を大切にするためにも、現代の教育理論では、行動(Doing)と存在(Being)は切り離して扱うことが推奨されています。
うちの夫は、高齢パパです。英国育ちの日系で、昭和味を帯びています。夫は出社するとき、こどもに「Be a good boy for mummy」と言っていました。夫が子供の頃に聞いた定型句なんだろうなと思いました。でも私が「この子は、お母さんにとって都合の良い子であるために生きてるんじゃないぞぃ」と言ってみたところ、行ってきますの挨拶が「See you in the evening, have a good day」に変わりました。
Jip and Janneke は、1960年代のオランダの作品です。言葉の端々に時代も宿っていて、現在の教育理論と比較しながら読むのも、なかなか乙なものです。「good boy / good girl 」に関しては、以下のリンク先の記事(英語)とか興味深いかもです。
外部リンク Rethinking Praise: Moving Beyond ‘Good Girl’ and ‘Good Boy’ in Early Years Settings
[概要 / 抜粋文]While these terms seem harmless, they can actually have unintended consequences on a child’s development.
広告
書籍案内
外部リンク 書籍案内:オランダ語版『Jip en Janneke』 (bol.com)
[概要 / 抜粋文]Auteur:Annie M.G. Schmidt | Serie:Jip en Janneke | Taal:Taal: NederlandsNederlands
外部リンク 書籍案内:英語版『Jip and Janneke』 (bol.com)
[概要 / 抜粋文]Auteur:Annie M.G. Schmidt | Serie:Jip en Janneke | Taal:Taal: NederlandsNederlands
関連記事
関連記事 オランダ語の語順
関連記事 オランダ語の文法


