責任の所在は?セントラルヒーティングの故障

今年の春、オール電化の家に引っ越しました。賃貸です。

セントラルヒーティングは床暖房です。冷えがちなバスルームにはパネル―ヒーターも設置してあり、内覧時のセールスポイントでした。

入居して初めての冬が到来。セントラルヒーティングの電源を入れても稼働している気配がなく、24時間経っても寒いままでした。

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責任の押し付け合い

わたしたちの賃貸契約書では、インフラの整備や修理は家主が行うことになっています。また、賃借人が勝手に修理をしてはいけないと明記されています。

ルールに従って、まずは家主に電話で連絡を入れました。いつも留守電で、なかなか折り返しのない家主です。数日にわたって2度ほどメッセージを残して、ようやく折り返しの電話をもらいました。

家主

家主自らが足を運んで見に来てくれました。

家主:「故障のようだね。管理組合に連絡して。彼らなら分かるはず。」

分譲マンションなので、管理組合があるようです。言われた通り、管理組合に連絡しました。当日中に折返しの連絡があり、翌日すぐに見に来てくれました。

管理組合

管理組合:「正しくセットアップしてみたよ。もし、24時間待っても温まらなかったら、家主と電気供給会社に連絡して。」

管理組合の人はとても親切で優しい人でしたが、残念ながら、24時間経っても暖房が稼働する様子はなく、部屋は寒いままでした。

家主

なかなか連絡のつかない家主とようやく連絡がつきました。

家主:「管理組合がセットアップしてもダメだった?じゃあ電気供給会社に連絡して。責任は彼らにあるから。」

電気供給会社

うちの床暖房のエネルギー供給会社は「Eteck Energy Engineering B.V.」です。問い合わせると、担当が不在のようでした。

Eteck:「当日中に、担当から折り返します」

でも、当日中に折り返しの電話がありませんでした。

夫:「きのう、折り返しの電話を待ってたんですが、連絡がありませんでした。」
Eteck:「ごめんなさい。今日中に、担当から折り返しの電話を入れます。」
夫:「わかりました、待っています。」

このやり取りが、3日間、毎朝くり返されました。4日目の朝も、夫は「わかりました、待っています。」と言って電話を切ろうとしました。

わたしがブチ切れました。ちょっと待った!このやり取り何日目だよ!毎朝デジャヴだよ!

夫のスマホを奪い、私がつたない英語で、文句を言いました。

わたし:「毎朝、同じやり取りをしています。」
わたし:「冬の終わりまで繰り返すんですか?」
わたし:「待つ以外に、私たちにできることは、ありませんか?寒いんです。お願いします!」

すると「受付さんのせいじゃないよ…」と言って、私を制止しようとする夫。それは正しいけれど、言い方とかやり方を変えないと、ループから抜けられないじゃないですか。毎朝「わかりました、待ってます」だけで電話を切る夫よ、アンタもおかしいんだよ(泣)

家主に初めて連絡を入れた日から2週間以上が過ぎていました。12月7日でした。寒かったんです。「担当から、折り返します」以外の会話が、ここで初めて出来ました。

Eteck:「お湯はでる?」
わたし:「お湯はでます」
Eteck:「動かないのは床暖房だけ?」
わたし:「はい、床暖房だけです」
Eteck:「じゃあ、原因はわたしたちの管轄外にあるわ。賃貸なの?じゃあ、家主に連絡して。責任は彼にあるから。」

え?…それを聞くためだけに、4日間も待たされていたの…!?てか、なに、みんな責任の押し付け合いじゃない?

わたし:「あのぅ…家主には連絡しています、2週間以上前に。家主が点検に来て、管理組合に連絡してというので連絡し、それでも稼働しなかったことを伝えると、家主も管理組合もEteckに連絡してというので、連絡したんです…」

すると、点検という名目で、配管の技術者を手配してくれることになりました。おおきな進展です。これで、Eteckに責任がないことが確認できたら、家主に修理を堂々と依頼できます。

配管の技術者(plumber)

数日後、約束通り、配管工が来てくれました。設備を点検した配管工が、なにやら作業を開始しました。

配管工:「配管に詰まりがあったから、取り除いておいたよ。これで、暖房設備が動くはず。でもお湯がでているし、温水器は稼働しているし、室内の配管の問題だから、本当はEteckの責任外だよ。でもぼくはEteckから派遣されてるから、修理費用は発生しないよ。」

な・ん・と。責任外の修理を、配管工さんの善意で、無料でやってくれたじゃありませんか。チップを要求するそぶりさえ、ありませんでした。

有料だとしても支払い義務があるのは家主なんですけどね。家主は…、もしかして、もしかして、こうなることを知っていたのですか…?

残る問題

Eteckの配管工さんのおかげで、部屋が温まりました。冬が越せます。ただ、なぜか、どういうわけか、バスルームだけは床暖房もパネルヒーターも冷たいままで稼働しませんでした。

家主に報告の電話を入れました。留守電でした。メッセージを残しました。

  • Eteckの配管工さんが善意でやってくれたため費用が発生しないこと
  • 本来は家主の責任であること
  • バスルームは稼働していないこと

折り返しの電話は、ありませんでした。

バスルームはほかの部屋より冷えますが、ドアを常時あけておけば、温かい部屋の空気がバスルームに流れ込み、極寒ではなくなりました。

もうね、精神的に疲れたのでね、今冬はこれでいいです。

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(今の時代、この絵文字はどれほど通用するのかな)

契約と家賃について思うこと

分譲マンションです。購入して住んでる世帯もあれば、うちのように借りて住んでいる世帯もあります。賃貸契約は貸主と借主の合意の上で成り立つので、同じ間取りでも賃料はそれぞれです。幅があります。

「インフラ修理の責任と費用は借主が負う」という契約になっている部屋もあり、同じ間取りでも毎月の家賃が300ユーロほど安く設定されて市場にでています。

うちは「家主が責任を負う、かつ、入居者が勝手に修理を行うことを禁止する」という契約です。わたしたちはインフラの知識があまりないので、保険的な意味も兼ねて、いまの契約と家賃に同意したのです。でも蓋をあけてみれば、「修理の責任逃れをする家主」と「勝手に修理してはいけないルール」に、高額な家賃を払って困らされるという、ドMな三重苦でした。

「家主が行動しない場合、内容証明郵便で通達し猶予を与えたのちに、自分で修理を手配して、その費用を家主に請求する」ということが、法律的には可能なようです。ただしこの場合も、請求された費用を家主が実際に支払うかどうかは、別問題です。支払いに応じなかったところで、こちらには現実的に打つ手がありません。弁護士などを雇えば、その費用のほうが高くつきますから。

なんかねぇ、もうねぇ~

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