ジェーン・オースティンの小説では歴史的なイベントが大きく描かれることはないですが、軍人は登場します。この時代の情勢を知っておきたいと思いました。

このページでは、18世紀後半~19世紀初頭のイギリスに関係する略史をまとめます。

歴史的イベント

アメリカ独立戦争(1755年~1783年)

https://www.flickr.com/photos/thenationalguard/4101110766; [1], Public Domain, Link

1775年4月19日から1783年9月3日までの、イギリス本国(グレートブリテン王国)とアメリカ東部沿岸のイギリス領の13植民地との戦争である。

アメリカ植民地が独立への道を歩み始めたそもそものきっかけはイギリス本国による課税の強化にあり、それはフレンチ・インディアン戦争(1754 – 1763)による財政危機の解消を目的としたものであった。

By Nathaniel Currierhttp://www.octc.kctcs.edu/mmaltby/his108/Boston%20Tea%20Party.jpg[ dead link], Public Domain, Link

1773年の茶法によって東インド会社のお茶が安く植民地に流入することになると植民地商人の怒りは頂点に達し、1773年12月にはボストン港停泊中の東インド会社船に暴徒が乱入し、積載されていた茶を海に投棄した(ボストン茶会事件)。

The French (left) and British at the Battle of the Chesapeake By V. Zveg (US Navy employee) – US Navy Naval History and Heritage Command: Photo #: NH 73927-KN URL: http://www.history.navy.mil/photos/images/h73000/h73927kc.htm [dead link], Public Domain, Link

アメリカ独立戦争は対立した両勢力が元々は同じ国民であったため、外国の地で戦われた内乱という見方もある。ただし、イギリスは軍事力ではアメリカよりもはるかに優勢で、アメリカはフランスの援助が無ければ戦いとおすことができなかった。

勝利を喜んだのはアメリカだけではなくフランス王国もそうだった。(中略)だが、アメリカ独立戦争における対外援助は既に大きく傾きかけていたフランスの財政を破綻させ、フランス革命をおこす要因となった。 アメリカ独立戦争

13植民地の喪失(1776年)
Map of the Thirteen Colonies (red) and nearby colonial areas (1763–1775) just before the Revolutionary War By William Robert Shepherd – Scan from Historical Atlas by William R. Shepherd, New York, Henry Holt and Company, 1923; the map is unchanged from the 1911 original version.Original image at the Perry-Castañeda Library Map Collection at the University of Texas at Austin., Public Domain, Link

イギリス第一次植民地帝国の北米植民地が、1776年に独立宣言。独立戦争を経て13植民地はアメリカ合衆国として独立。

パトリオット (Blu-ray)
著者/監督:

独立戦争が始まりイギリス軍がアメリカに侵入してきた。平和主義を貫くベンジャミンはかつて同士だったイギリス軍との戦いに乗り気ではなく、長男ガブリエルの参戦に苦い顔をみせる。しかし目の前で次男を殺されたとき、眠っていた戦士としての本能を呼び覚まされ、再び銃を取ることを決意する・・・。

出版社/発売元:
発売日:2015/10/02

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フランス革命(1789年~1799年)

By Eugène Delacroix – Erich Lessing Culture and Fine Arts Archives via artsy.net, Public Domain, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=27539198

フランス革命はアメリカ独立革命とともに、資本主義革命の典型的事例である。フランスでは旧支配者(宗教家・君主・貴族)の抵抗がきわめて激しかったため、諸々の階級の対立・闘争がもっとも表面化した。 フランス革命

ダントン (DVD)
著者/監督:

フランス革命期の恐怖政治を背景に、対照的なふたりの男の生き方と葛藤を描いたドラマ。冷徹で教条主義的な政治家・ロベスピエールが中心となって推し進める恐怖政治を終わらせるため、豪放磊落で人間味溢れる男・ダントンがパリへやって来る。

出版社/発売元:紀伊國屋書店
発売日:2014/04/26

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ナポレオン戦争(1799年~1815年)

French victory over the Austrians and Russians at the Second Battle of Zürich By François Bouchot[1], Public Domain, Link

フランスの第一執政期および第一帝政期の一連の戦争 (1799~1815) の総称。ナポレオン・ボナパルトが第一執政に就任した1799年11月9日を境に「フランス革命戦争」と「ナポレオン戦争」の二つの局面に分けられる。総裁政府下でナポレオン・ボナパルトが指揮した第一次イタリア遠征、エジプト遠征を含めることもある。 ナポレオン戦争

フランス第一帝政は、1804年から1814年および1815年まで存続した、皇帝ナポレオン1世が支配する強力な軍事力を後ろ盾とした軍事独裁政権。大陸軍(グランダルメ)と命名された巨大な陸軍組織が国家の柱石だった。 フランス第一帝政

The Battle of Trafalgar By Louis-Philippe Crépin (1772-1851) – Scanned from L’Empire des Mers, Martine Acerra & Jean MeyerMarines editorISBN 2826401009, Public Domain, Link

1805年、ナポレオンはイギリス上陸を計画し、ドーバー海峡に面したブローニュに18万の兵力を集結させる。これに対してイギリスは、オーストリア・ハプスブルク、ロシアなどを引き込んで第三次対仏大同盟を結成した。(中略)フランス軍は8月下旬にブローニュを進発。9月25日から10月20日に及ぶウルム戦役においてオーストリア軍を包囲し降伏させた。(中略)その一方で海戦はフランスの敗北に終わっていた。ヴィルヌーヴ率いるフランス・スペイン連合艦隊は、ネルソン率いるイギリス艦隊に捕捉され、10月21日、トラファルガーの海戦で壊滅した。だがこの海戦は、直ちには大陸におけるナポレオンの覇権に影響を与えなかった。

Wellington at Waterloo by Robert Alexander Hillingford By Robert Alexander Hillingford, Public Domain, Link

(1815年)6月18日、ワーテルローの戦いが開始された。フランス軍とイギリス・オランダ連合軍が激戦を繰り広げている最中、グルーシーの追撃を振り払ったプロイセン軍が続々と戦場へ到着し、フランス軍の側面に猛攻を掛けた。これが決定的な打撃となり、フランス軍は潰走した。プロイセン軍は夜通しの追撃を行い、フランス軍は完全に崩壊した。ナポレオン戦争

ワーテルローの戦いは同盟軍の勝利に終わったが、この戦いは同盟軍側にも甚大な数の戦死者を出していた。ウェリントン公爵軍は1万5000人、ブリュッヘル軍は7000人が戦死している(フランス軍は2万3000人)。翌19日に戦死者リストを見せられたウェリントン公爵は涙を流しながら「敗戦のときの気持ちは私には分からないが、これほど多くの戦友を失って得た勝利ほど悲しいことはない」と軍医に語っている。 アーサー・ウェルズリー (初代ウェリントン公爵)

イギリスはケープ植民地をはじめとする海外領土を獲得した。さらに、フランス、スペイン、オランダ、デンマークなどの海軍を打倒したことでイギリス海軍が世界の海における制海権を確立し、大陸封鎖令とそれに対抗する海上封鎖というフランスとの経済戦争にも勝利して、植民地貿易における支配力を強め、イギリス産業が興隆した。19世紀におけるイギリスの覇権国としての地位は揺るぎないものとなった。 ナポレオン戦争

ワーテルロー(DVD)
著者/監督:

1815年、エルバ島から帰還しナポレオン(R・スタイガー)は、南仏に上陸、護衛兵を従えパリに向かった。パリのルイ十八世(O・ウェルズ)は、かつてナポレオンの将校だったネイ将軍(D・オハーリー)を派遣し、進撃を阻止しようとしたが兵士たちはナポレオンを見ると銃を投げだし、歓声をあげて彼のまわりにむらがった。ルイ十...

出版社/発売元:復刻シネマライブラリー
発売日:2019/07/01

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産業革命のはじまり

Handloom weaving in 1747, from William Hogarth’s Industry and Idleness By Hogarth – The Industrious and the Lazy Apprentice, Public Domain, Link

産業革命とは、科学革命に基盤を置く技術革新を、前資本主義経済体制において蓄積された財すなわち「資本」と、農業革命により過剰となった農村人口を都市が吸収した「労働力」を利用することにより、爆発的に生産力が向上した歴史的事実を言う。なお、「技術革新」「資本蓄積」「都市労働力の増大」は相互に関係しておりどれかが唯一の要因とはいえない。

産業革命の嚆矢であるイギリスにおいては、大航海時代以降の大西洋三角貿易によって資本蓄積が進み、第2次エンクロージャーにより農村から流入した労働力とプロト工業化による農村の工業化、工場制手工業の発達によって、前資本主義経済における産業構造が、産業革命の進展を支えるほどに醸成されていた。

第1次産業革命:石炭、蒸気機関を動力源とする軽工業中心の発展である。イギリスでは18世紀に発生し、フランス・ベルギー・オランダなどが追随した。その他の国家では、産業革命化は遅れ、ドイツやアメリカは1870年代、日本や北欧諸国が続く。

Model of the spinning jenny in a museum in Wuppertal. Invented by James Hargreaves in 1764, the spinning jenny was one of the innovations that started the revolution. By Markus Schweiß, CC BY-SA 3.0, Link

イギリス:毛織物業などの資本の蓄積が大西洋三角貿易によって加速すると、マニファクチュア的工業生産にも技術革新が要求される。ダービー父子のコークス製鉄法やワットの蒸気機関などがそうだ。また、1764年のハーグリーブズのジェニー紡績機、1769年のリチャード・アークライトの水力紡績機、クロンプトンのミュール紡績機が1779年に誕生し、漸進的な技術開発であったことが分かる。産業資本や金融経済の発達も、イギリス産業革命において不可欠であることは言えるが、アメリカ大陸でのスペインやフランス、ドイツとの確執も重要な因子である。 産業革命

困難な時世 ハード・タイムズ BBCドラマシリーズ
著者/監督:

原作はチャールズ・ディケンズが1854年に発表した長篇小説。19世紀中頃に英国の工業都市プレストンで現実に起こった工場労働者の大ストライキ事件をベースにしている。コークタウン(コークスの町)という架空の都市を舞台に英国中産階級の基本的生活原理「実用主義」と、それを教育の場で応用した「役に立つ実践教育」に...

出版社/発売元:
発売日:2015/05/22

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大英帝国の幕開け

第二次大英帝国:アメリカ独立からアジア・アフリカに転じて最盛期を築いた19世紀半ばまでの自由貿易時代。イギリス帝国

関連Rise of the “Second” British Empire (1783–1815)

二都物語 BBC文芸ドラマ (DVD)
著者/監督:

フランス革命時のロンドンとパリの二都市を舞台にしたチャールズ・ディケンズの歴史小説。1775年、ルーシー・バネットはフランスの貴族サン・テヴレモン侯爵の圧力により無実の罪でパリのバスチーユ監獄に投獄された父親アレクサンドル・マネットが解放されたと聞き、父をイギリスへと連れ帰る。ルーシーはその帰途でフ...

出版社/発売元:
発売日:2014/04/25

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奴隷貿易の終わり

WHM112034 Portrait of William Wilberforce (1759-1833) Aged 29 (oil on canvas) by Rising, John (1753-1817)
oil on canvas
220×130
© Wilberforce House, Hull City Museums and Art Galleries, UK
English, out of copyright

18世紀にイギリス、アメリカ、その他のヨーロッパの諸地域では大西洋奴隷貿易に反対する意見が現れ始めたが、その声は少数であった。そのような少数意見を唱えたのは福音派のウィリアム・ウィルバーフォースや、クエーカー教徒のような宗教的少数派である。南北両アメリカ大陸では独立自営農民が大西洋奴隷貿易に反対した。1772年には、奴隷がブリテン諸島に入れば自由身分になることになった。19世紀になると奴隷制を廃止する運動(アボリショニズム)が盛んになった。

デンマークは奴隷貿易を禁止した最初の国である。奴隷貿易を禁止する法律は1792年に制定され、1803年に発効した。イギリスでは、ウィルバーフォースの努力が1807年2月22日に実った。大西洋奴隷貿易を廃止する法律「奴隷貿易法」(the Slave Trade Act)が庶民院で、反対16票に対し賛成283票が圧倒して成立した。アメリカ合衆国における廃止はさらに後年のことになる。イギリス海軍は大西洋奴隷貿易を終わらせるために「アフリカ封鎖」(Blockade of Africa)と呼ばれる、奴隷船の往来の妨害(blockade)を開始し、また、他国に妨害を承認させる条約を結んだ。それでもなお、プエルトリコとキューバといったスペインの植民地には奴隷の移送が続けられ、19世紀の遅くになって大西洋奴隷貿易が終わった。 大西洋奴隷貿易

アメイジング・グレイス(字幕版)
著者/監督:

18世紀のイギリス。聖職者のウィリアム・ウィルバーフォースは同国の奴隷貿易に心を痛める中、かの名曲「アメイジング・グレイス」の作詞者ジョン・ニュートンに出会い、奴隷貿易廃止を訴える辛く苦しい茨の道を歩む決心をする。

出版社/発売元:
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