コルマールとアルザス地方の略史

14世紀まで

コルマールの歴史は古く、ローマ時代には「Columbarium(コロンバリウム?)」と呼ばれていたそうです。その名が初めて文献に登場するのは823年で、フランク王国のルートヴィヒ1世による寄付についてのものとのことです。

ルートヴィヒ1世は、かのシャルルマーニュ(カール大帝)の息子です。この頃のフランク王国は現フランス~現ドイツそしてイタリアの北部におよんでいました。が、次の世代に相続争いが起き、東、中央、西に3分裂したのち、紆余曲折を経て、西フランク、東フランク、イタリアが形成されました。おおざっぱに言うと今日のフランス、ドイツ、イタリアの原型です。

アルザス地方は東フランクの西に位置することになりました。東フランクではまもなくフランク人の王家が途絶え、ゲルマン系の諸侯から国王が選ばれることになります。この時点からフランク王国と言うよりも実態はゲルマン王国(ドイツ王国)な感じになります。

10世紀、ドイツ国王ザクセン公オットー1世は、ローマ教皇から戴冠されて「ローマ皇帝」の称号を得ます。この称号は「西方教会がお墨付きを与える世俗の最高権威」みたいなものなので、原則的には他の国王が戴冠されても良いはずですが、大人の事情で、以来おおむねずーっと「ドイツ国王」が「ローマ皇帝」として戴冠されました。このため数百年後の未来から俯瞰すると、なんとなく「神聖ローマ帝国」=「ドイツ」な感じになります。ちなみにこのドイツ王国は、統一国家ではなく「国の集まり」でした。「分国」とか「諸邦分立体制」と呼ばれ、フランスやイギリスのような「国内統合」「中央集権」とは異なる発展をみせます。

コルマールは徐々に発展し、13世紀には「帝国都市(imperial city)」となり、14世紀には「アルザス十都市同盟」にも参加しました。「帝国都市」というのは、地方領主から分離して皇帝直属となって大幅な自治権を与えられた都市のことです。十都市同盟とは、帝国都市としての特権と地位を守るためにアルザス地方の都市同士で結んだものだそうです。

手前:シュウェンディの噴水。奥:旧関税。15世紀に着手されたゴシックとルネサンス様式の建築。

15世紀~20世紀

15世紀~16世紀がコルマールの黄金時代です。イタリアからフランドル地方、そしてドナウからシャンパーニュ地方を結ぶ「商業活動」、それから「農業」「ワイン造り」も栄えたとのことです。

しかし17世紀の「30年戦争」でアルザス地方は荒廃します。30年戦争は、ベーメン(ボヘミア、現チェコ当時は神聖ローマ帝国域)のカトリック VS プロテスタントの宗教紛争が始まりですが、欧州の大国が政治的な意図をもって介入したため、国際的な覇権争いに発展した戦争です。

コルマールは1635年に「帝国都市」のままフランスが占領、1648年のウェストファリア条約で神聖ローマ帝国から切り離され、さらにナイメーヘンの和約が結ばれた1678年には「十都市同盟」も終焉を迎えました。アルザス地方は、フランス王国領に組み込まれました。時はルイ14世の治世下です。コルマールは1698年にアルザス地方の司法の中心となりました。

ウェストファリア条約…30年戦争の講和条約。欧州主要国が参加した初の大規模国際会議。
ナイメーヘン条約…フランスが南北ネーデルラント地方(スペイン領含む)に侵攻した戦争の講和条約。蘭、西、神聖ローマ帝国が反フランス同盟を結ぶが、フランス優勢で決着してアルザス地方の諸都市もフランスが獲得。

ナポレオン戦争後の1806年に神聖ローマ帝国は崩壊します。ナポレオンによって再編されたドイツでは、かねてより力をつけていたプロイセン王国が台頭し、1866年の普墺戦争に勝利し、さらに1870-71年の普仏戦争にも勝利して、帝政ドイツを築きました。ドイツ統一です。コルマールを含むアルザス地方は、フランスから割譲され帝政ドイツに併合されました。

アルザス地方は第一次世界大戦が終結する1918年にフランスに返還されますが、第二次大戦下の1940年~45年の間はナチス・ドイツの占領下に置かれます。

1945年2月2日はコルマールの歴史にとって大切な日とのことです。「コルマーポケットの戦い」が、フランスの地で行われた第二次大戦最後の戦いとなって、戦争が終結したのだそうです。

関連リンク

旅行記 アルザス地方2019

タグ:アルザス地方2019
2019年7月にアルザス地方(ストラスブール、コルマール、サヴェルヌ、セレスタ)を訪れたときの旅行記です。準備・行程はこちら

書籍
アルザス地方の旅行から戻って購入した本(電子書籍版)。20世紀に行われたオー・クニクスブルグ城の大修復が「ヴィルヘルム2世」によるものと知って、皇帝に興味を持ったため。皇帝の生い立ちや性格が詳しく、感情移入しながら読み進めるうちに、当時の世界情勢や第一次世界大戦の流れを知ることができて嬉しかった。読み易い本でした。

ヴィルヘルム2世
著者:竹中 亨

公式紹介文:1888年にドイツ皇帝として即位したヴィルヘルム2世(1859〜1941)。統一の英雄「鉄血宰相」ビスマルクを罷免し、自ら国を率いた皇帝は、海軍力を増強し英仏露と対立、第一次世界大戦勃発の主要因をつくった。1918年、敗戦とともにドイツ革命が起きるとオランダへ亡命、その地で没する。統一国民国家の...

出版社:中央公論新社
発売日:2018年05月21日

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外部リンク
参考資料
Colmar tourist office > History神聖ローマ帝国【電子書籍】[ 菊池良生 ]ドイツ史10講【電子書籍】[ 坂井榮八郎 ]