アムステルダム近郊で賃貸できる家を探し続けてはや2ヵ月が過ぎました。 そして、日本の不動産仲介業と異なるオランダの業界の在り方を、今更、知ったのです。

言い訳するなら、移住時期が当初の予定より2ヵ月も早まったので十分に下調べする期間がなかった、とでも…😅

オーナー側の不動産業者

報酬の支払いについて

賃貸物件の広告が載っているFundapararius で物件を見つけて、不動産業者に連絡し、内覧して契約に至ったとしましょう。 このケースでは、入居者は仲介手数料、契約事務手数料、その他の手数料を一切払わなくてよいと法律で定められているようです。

ソース(情報元)はこちらです。

In October of 2015 the High Court (Hoge Raad) issued a very clear verdict: if the agency is representing the landlord (which is almost always the case) tenants are not obliged to pay commission, agency fees, contract-costs, or whatever those cost might be called. If tenants have been unjustly charged they can demand a refund.Unjust agency fees in Amsterdam

しかし、日本を含め他の多くの国では、不動産業者は所有者と入居者の双方から半月分ずつの「仲介手数料」を領収することが多いようです。 そのため、オランダの法律に疎い外国人の入居者は、「仲介手数料」なるものを半月~2ヵ月分請求されて、言われるがままに支払ってしまうケースが問題となっているようです。

わたしも、昨日まで、当然のように支払うつもりでいました😲

もし支払ってしまった場合は、!WOON (アムステルダムの場合)でアドバイスを受けて、返金手続きを踏むことができるようです。

なぜ入居者は仲介手数料を払わなくてよいのか

なぜ入居者は仲介手数料を払わなくてよいのでしょうか。 これについて、単純明快で合理的な答えがこちらです。

オランダの法律に基づき、不動産業者は物件所有者と入居者の双方を同時に代理することができないようになっています。 なぜなら、双方の利益は相反するからです。 物件所有者はより高額な家賃を望みますし、入居者はより安い家賃を望みます。 例えば、入居希望者がインターネット上にある広告を見て連絡した場合、その広告を掲載した業者はすでにその物件所有者を代理しているのです。

According to Dutch law, letting agencies cannot represent both the landlord and the tenant at the same time because of their conflicting interests: landlords prefer higher rents, tenants prefer lower rents. If tenants respond to an ad on the internet then the agency that placed that ad is already representing the landlord.  Unjust agency fees in Amsterdam

ということで、日本の不動産仲介業務との決定的な違いは、日本の場合はあくまで「仲介/媒介」であるのに対し、オランダではこれが物件所有者の「代理/代行」である、とみなされる点なのかと思います。 オランダの不動産業者は「仲介手数料」で儲けるのではなく「代理/代行の委託料」で儲けるようです。この委託契約を結んでいるのは物件所有者と不動産業者なので、入居者には何の費用も発生しないのだろうなと思いました。

ということは、この不動産業者は委託元の物件所有者にとって有利なテナントを探すことがお仕事です。家を探している私たちが「こんな物件を探しています」と希望を伝えることは、無駄ではないと思いますが、日本の仲介業者とはちょっと違うということですね。

さてしかし、審査落ちが続いている私たちは、ではどうすればいいのでしょうか。

テナント側の不動産業者

BussumZuid

verhuurbureaus は入居者の味方

上述したように、ポータルサイト(総合情報サイト)に物件情報を掲載しているのは、「物件所有者の代理/代行である不動産業者」です。 物件所有者にとって有利にお仕事を進めるのが彼らの任務です。

そして、家探しをしている人にとって有利にお仕事を進めてくれるのが、オランダ語で「verhuurbureaus」と呼ばれるサービスです。 英訳では「Specialised letting agencies」となっているケースが多いようです。

聞いたところでは、彼らは英語に不慣れな物件所有者ともオランダ語でコミュニケーションし、成約をもたらせてくれることがあります。 また、入居者に不利な契約にならないよう最善を尽くしてくれます。 申し込みに必要な書類等々のアドバイスをくれたり、申し込みの管理などをしてくれます。移住して間もない外国人は何かと不利になりがちですが、そこをどうにかしてくれるわけです。

そういうことであれば、お金を払う価値が十分あると思いました。 (日本の仲介業者へ支払う以上に理にかなった価値がある気がします…。)

夫の勤め先が紹介してくれた業者へメールでアポイントをとりました。進展があれば追記します。

オランダの業界は大都市でさえとても緊密にできているので、契約するのは、ひとつのエージェンシー(verhuurbureaus)のみにしておかないと、彼らのすべてを不快にさせてしまうリスクを負います。 彼らは、テナント(入居者)の利益になるよう最善を尽くすこと、目的の物件に関するすべての情報を提供することが義務付けられています。

As most Dutch industries are relatively closely knit, even in the big cities, it’s best to only sign up with one agent or risk displeasing them all. Estate agents are obliged to work in the best interest of the tenant and should provide you with full information about the property. Renting a property in the Netherlands

私たちが勘違いしていたこと

じつは、当初より夫の勤め先の人事課が「お金を払って家を探してもらうサービス」(verhuurbureaus)の利用を提案してくれていました。

これを初めて聞いたときは「は?」と思ったものです。 「オンラインに物件情報が公開されているのに、そこにお金をかけて人を雇うって、なんてブルジョワジーな発想なの?」と思いました。 住宅不足の実情を知ってからは「藁にもすがりたい思いの人々の足元を見た商売なのね…」という感想に変わりました。

というのも、オランダの不動産屋が物件所有者を「代理/代行」する立場だということを知らなかったので、そのような感想になりました。また「課金することで情報を3日早く取得できる」系のグレーなビジネスと混同していました。

それで「足元を見たサービスの利用料」に加えて「不動産仲介料」という、安くはない料金を2重に支払わなくてはならないと勘違いしていました。「こんな理不尽なビジネスに屈したくない」と思い利用を渋っていたのです。

しかし実際は、不動産業者はオーナー側とテナント側の2通りがあり、両者はハッキリと立場を異にするもので、報酬の支払いは自分のサイドだけで良いことを、来蘭2ヵ月にしてようやく知ったわけです…😳

注意点

いずれの業者を利用する場合でも…

Estate agents or Specialised letting agencies

その業者が自治体のライセンスを取得しているかどうかに注意してください。 外国人に貸し出されるアパートの多くは、業者を通じて契約に至っています。 彼らは土地に不慣れな外国人からできるだけ多くの料金を取ろうとしますので、気を付けてください。

Be careful that the agency has a license from the municipal authorities. Many apartments rented to expats are found via agencies. As elsewhere pay attention to these agencies because they will try to make you pay as much as possible as you’re an expat and so you don’t know the ‘local’ market. Moving to Amsterdam

私たちはアムステルダム市内と郊外のいくつかの物件を今日までに計7件内覧しました。アムステルダム市内4件、郊外3件です。郊外の不動産業者(オーナー側)は法を順守している印象でした。何かとおかしなことになっているのは、アムステルダム市内のようです。

日本には「適正な運営と公正な取引を確保し業界の健全な発展を図る宅建協会」というものがあり、この協会に加入していることが信頼の証になります。不正取引が報告されれば、ペナルティを受けたり除名されたりします。オランダにも、似たような趣旨の協会があるようです。郊外の物件を内覧したとき、不動産業者(オーナー側)が協会のロゴを目印にすると良いと教えてくれました。NVM はそのひとつです。

家を探すその他の方法

仲介サイトを利用する

物件の所有者と入居者のどちらのサイドにも付かず、場を提供するだけのサイトもあります。 契約は当事者間で行います。 運営は不動産業者ではない(と思う)ので、仲介手数料の代わりにシステム利用料が発生すると思います。 Facebook などの SNS なら、システム利用料すら発生しませんが、慣れが必要かと思います。 まだオランダに来たばかりの私たち夫婦は、ひとまず避けています。 最も詐欺が多い場所だと予想しています。

グレーな情報サイトに課金する

物件所有者から委託を受けて入居者を探す不動産業者の中には、その空室情報をすぐには一般公開せずに、課金したひとにだけ3日早く公開するといった過程を踏む業者があるようです。 こうした手法が適法なのかは知りませんが、そういうサイトに課金すれば3日早く情報を取得できます。 閲覧できる人数に制限はなさそうですから、課金の価値があるのかは疑わしいです。 わたし個人としては、こうしたサイトに課金するくらいであれば、「verhuurbureaus」に依頼して対価を支払いたいと考えます。

余談

夫の勤め先は、親身にアドバイスをくれます。なぜもっと早くに「オランダの不動産屋は2種類ある」ことに気づいてくれなかったんだ夫よ!と思いましたが、日本居住歴が長い彼も、日本式の先入観があり、私と同じ勘違いをしていました。しかし、ある時点から「広告を見て申し込んだ入居者は手数料を払わなくていい」という事実には、薄々気づいていたようです。なのに、それを掘り下げることもなければ、私たちの会話がある時から噛み合っていないことにも無頓着でした。なんだか、腹が立ってきました😤

という家庭の話はさておいて😳

オーナーとテナント(あるいは売主と買主)の利益が相反するのは、日本でも同じことです。だから日本の不動産業が「仲介/媒介」という中途半端な立ち位置であることには、若い頃に疑問を覚えたものです。でもいつの間にか「世の中ってそういうものなんだな」と納得していた自分がいました。

オランダは欧州の中でも特に合理性を重んじる国だなんて聞いたことがありますが、なんだか喉につっかえていたものがとれたような爽快感を覚えました。日本の常識で考えていたから、この国の不動産屋が、時には非常に冷たく見えたのだけど、蓋を開けてみれば、こんなにスッキリした話はありません。日本でも「双方代理」となれば原則禁止だったと思いますが、不動産業は「仲介/媒介」という立ち場に置かれているのですよね…。宅建業法がより一層ややこしくなってしまっているのはその曖昧な立ち位置のせいじゃないかと、宅建試験に落ちた経験しかない私は今、(腹いせのように)思ったのでした(笑)😅