【交渉】賃貸トラブル、責任転嫁のループを抜ける!暖房が故障した事例

今年の春、オール電化の家に引っ越しました。賃貸です。
セントラルヒーティングは床暖房です。冷えがちなバスルームにはパネル―ヒーターも設置してあり、内覧時のセールスポイントでした。
入居して初めての冬が到来。セントラルヒーティングの電源を入れても稼働している気配がなく、24時間経っても寒いままでした。
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たらいまわしの無限ループ
わたしたちの賃貸契約書では、インフラの整備や修理は家主が行うことになっています。また、賃借人が勝手に修理をしてはいけないと明記されています。
ルールに従って、まずは家主に電話で連絡を入れました。数日にわたって2度ほどメッセージを残して、ようやく折り返しの電話をもらいました。しかしここから、たらいまわしの無限ループが始まります。
- 家主 → 「管理組合に聞いて」
- 管理組合 → 「家主と供給会社(Eteck)に聞いて」
- 供給会社 → 「(4日待たせた挙句)それは家主の責任」→1に戻る
無限ループを抜けるには
「言われるがまま」にはならない
わたしのケースでは、ブチ切れたら突破口が見つかりました。正確に言うとブチ切れる必要はないのですが、以下の2点の心構えが大切です。
- 「言われるがまま」にはならないこと
- 「状況、経緯、努力、結果、困難」を理路整然とレポートすること
そうすれば、なにかしら前進できます。本来の責任者が動かなくても、関係あるかもしれないところに「困っている、助けてほしい」と声を届けることで、援助を得て状況が動き始めることがあります。
日本と比べると、命に関わらない日常生活のシステムに、バグの多い国です。そのためか、どこでも、個々の従業員の裁量でやってもよい善行の幅が広いような雰囲気はあります。人助け精神が尊重されているのかもしれません。
もちろん、どうしようもない輩や、元凶そのものである悪質な人物もいますし、誤解が重なって関係が悪化してる場合もあります。
最終手段:Het Juridisch Loket(法律相談窓口)
最終手段の法律相談窓口も載せておきます。オランダ政府が資金提供している、法的トラブル全般の相談窓口です。
- 内容: 賃貸契約、敷金、不当な家賃、立ち退き問題などについて、無料で法的なアドバイスを提供します。
- 条件: 低所得・低資産の方が対象ですが、所得制限を超える場合でも、初期の一般的なアドバイスは受けられることがあります。
- 連絡先: 0800-8020(無料)またはウェブサイト。
実体験の記録
以下、日記みたいなものですが載せておきます。
家主
家主自らが足を運んで見に来てくれました。
家主:「故障のようだね。管理組合に連絡して。彼らなら分かるはず。」
分譲マンションなので、管理組合があるようです。言われた通り、管理組合に連絡しました。当日中に折返しの連絡があり、翌日すぐに見に来てくれました。
管理組合
管理組合:「正しくセットアップしてみたよ。もし、24時間待っても温まらなかったら、家主と電気供給会社に連絡して。」
管理組合の人はとても親切で優しい人でしたが、残念ながら、24時間経っても暖房が稼働する様子はなく、部屋は寒いままでした。
家主
なかなか連絡のつかない家主とようやく連絡がつきました。
家主:「管理組合がセットアップしてもダメだった?じゃあ電気供給会社に連絡して。責任は彼らにあるから。」
電気供給会社
うちの床暖房のエネルギー供給会社は「Eteck Energy Engineering B.V.」です。問い合わせると、担当が不在のようでした。
Eteck:「当日中に、担当から折り返します」
でも、当日中に折り返しの電話がありませんでした。
夫:「きのう、折り返しの電話を待ってたんですが、連絡がありませんでした。」
Eteck:「あら、ごめんなさい。今日中に、担当から折り返しの電話を入れます。」
夫:「わかりました、待っています。」
このやり取りが、3日間、毎朝くり返されました。4日目の朝も、夫は「わかりました、待っています。」と言って電話を切ろうとしました。
わたしがブチ切れました。ちょっと待った!このやり取り何日目だよ!毎朝デジャヴだよ!
夫のスマホを奪い、私がつたない英語で、文句を言いました。
わたし:「毎朝、同じやり取りをしています。」
わたし:「冬の終わりまで繰り返すんですか?」
わたし:「待つ以外に、私たちにできることは、ありませんか?寒いんです。お願いします!」
すると「受付さんのせいじゃないよ…」と言って、私を制止しようとする夫。それは正しいけれど、言い方とかやり方を変えないと、ループから抜けられないじゃないですか。
毎朝「わかりました、待ってます」だけで電話を切る夫よ、アンタもおかしいんだよ(泣)感情が高ぶって境界があいまいになって今いましたが、わたしがブチ切れた相手は、Eteckではなく夫だと思います。
家主に初めて連絡を入れた日から2週間以上が過ぎていました。12月7日でした。寒かったんです。「担当から、折り返します」以外の会話が、ここで初めて始まりました!
Eteck:「お湯はでる?」
わたし:「お湯はでます」
Eteck:「動かないのは床暖房だけ?」
わたし:「はい、床暖房だけです」
Eteck:「じゃあ、原因はわたしたちの管轄外にあるわ。賃貸なの?じゃあ、家主に連絡して。責任は彼にあるから。」
え?…それを聞くためだけに、4日間も待たされていたの…!?てか、なに、みんな責任の押し付け合いじゃない?
ふいに冷静になる私。
わたし:「あのぅ…家主には連絡しています、2週間以上前に。家主が点検に来て、管理組合に連絡してというので連絡し、それでも稼働しなかったことを伝えると、家主も管理組合もEteckに連絡してというので、連絡したんです…」
すると、点検という名目で、配管の技術者を手配してくれることになりました!おおきな進展です。これで、Eteckに責任がないことが確認できたら、家主に修理を堂々と依頼できます。
配管の技術者(plumber)
数日後、約束通り、配管工が来てくれました。設備を点検した配管工が、なにやら作業を開始しました。
配管工:「配管に詰まりがあったから、取り除いておいたよ。これで、暖房設備が動くはず。でもお湯がでているし、温水器は稼働しているし、室内の配管の問題だから、本当はEteckの責任外だよ。でもぼくはEteckから派遣されてるから、修理費用は発生しないよ。」
な・ん・と。責任外の修理を、配管工さんの善意で、無料でやってくれたじゃありませんか。チップを要求するそぶりさえ、ありませんでした。
有料だとしても支払い義務があるのは家主なんですけどね。家主は…、もしかして、もしかして、こうなることを知っていたのですか…?
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残る問題
Eteckの配管工さんのおかげで、部屋が温まりました。冬が越せます。ただ、なぜか、どういうわけか、バスルームだけは床暖房もパネルヒーターも冷たいままで稼働しませんでした。
家主に報告の電話を入れました。留守電でした。メッセージを残しました。
- Eteckの配管工さんが善意でやってくれたため費用が発生しないこと
- 本来は家主の責任であること
- バスルームは稼働していないこと
折り返しの電話は、ありませんでした。なんの反応もありませんでした。
バスルームはほかの部屋より冷えますが、ドアを常時あけておけば、温かい部屋の空気がバスルームに流れ込み、極寒ではなくなりました。
もうね、精神的に疲れたのでね、今冬はこれでいいです。
>┼○ バタッ
(今の時代、この絵文字はどれほど通用するのかな)
契約と家賃について思うこと
分譲マンションです。購入して住んでる世帯もあれば、うちのように借りて住んでいる世帯もあります。賃貸契約は貸主と借主の合意の上で成り立つので、同じ間取りでも賃料はそれぞれです。幅があります。
「インフラ修理の責任と費用は借主が負う」という契約になっている部屋もあり、同じ間取りでも毎月の家賃が300ユーロほど安く設定されて市場にでています。
うちは「貸主が責任を負う、かつ、入居者が勝手に修理を行うことを禁止する」という契約です。わたしたちはインフラの知識があまりないので、保険的な意味も兼ねて、いまの契約と家賃に同意したのです。でも蓋をあけてみれば、「修理の責任逃れをする貸主」と「勝手に修理してはいけないルール」に「高額な家賃」を払って困らされるという、ドMな三重苦でした。
「家主が行動しない場合、内容証明郵便で通達し猶予を与えたのちに、自分で修理を手配して、その費用を家主に請求する」ということが、法律的には可能なようです。ただしこの場合も、請求された費用を家主が実際に支払うかどうかは、別問題です。支払いに応じなかったところで、こちらには現実的に打つ手がありません。弁護士などを雇えば、その費用のほうが高くつきますから。
なんかねぇ、もうねぇ~
>┼○ バタッ
[追記]家主の誤解が解ける
数年後、この物件を退去するときに家主から「誤解してたよ、君たちは悪いテナントではなかった」という言葉を聞きます。
そもそもなぜ、そんな誤解が生じていたのか。賃貸契約のときに仲介した家族経営の不動産屋かもしれないですね。数々の不手際を隠す自己保身のために、テナントを悪人にするシナリオを家主に届けた可能性は否定できません。なぜなら、こちら側には「(架空の)第三者の介入」がある嘘のシナリオを届けていたからです。家主とテナントが積極的に意思疎通したらすぐにバレるような短絡的なウソを用いる人の心理が私にはわからないです。
退去の時には、家主は別の不動産屋と契約していました。実質的な損失が生じてましたからね(賃上げ告知の遅延による損失など、代行していた不動産屋の不手際)。なので入居と退去で、異なる不動産屋を介することになりました。
家主の誤解が解けて、円満退去で良かったです。
ちなみに、この家主はレイジー(lazy)な性格でした。居住中の対応が遅いのは非常に困りましたが、退去の時の点検がザツだったのは、一貫性があって好感がもてました。


