不法滞在扱い…ですと…?
オランダ移民局発行の仮滞在許可証がフィンランドで無効だった件

IND(オランダ移民局)発行の仮滞在許可証を所持して90日以上オランダに滞在した私は、Finnair を利用して日本へ一時帰国するとき、乗り継ぎのヘルシンキ空港の出国管理で「不法滞在」扱いを受けました…。仮滞在許可証の発行国が何と言おうと、その有効性は入国を予定している国の入国管理等に事前に確認することが大切だと学びました😭

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フィンランドへの再入国禁止を言い渡される

私の仮滞許可証

私はオランダで在留ビザを申請中でした。審査結果が出るまで最長で半年(延長の可能性あり)を要するとのことで「審査待ちの間、90日を超えても滞在が可能」という仮滞在許可証をもらいました。

仮滞在許可証はIND(オランダ移民局)で発行されました。受け取りの際に窓口で「このステッカーはシェンゲン圏内で共通して有効」と言われていました。

そうしてオランダでの滞在日数がゆうに90日を超えた頃、日本へ一時帰国することになりました。

格安キャンペーン中だった finnair を利用し、乗り継ぎ空港のヘルシンキ(フィンランド)のパスポートコントロールで出国審査を受たときに悲しい事実を知らされます。

IND発行の仮滞在許可証は、フィンランドでは無効で、わたしは「滞在期間超過」の扱いとなったのです。

長期滞在していたのはオランダであって、フィンランドには降機してからパスポートコントロールまで歩いただけしか滞在していませんが、シェンゲン圏内のどの国に滞在していたかを証明するものはありません。

フィンランドへの再入国を禁じられる

パスポートコントロールでの審査の末、「警告/厳重注意」を受けたあと日本へ向けて出国はできたものの「正式なビザ(住民カード)を取得するまではフィンランドへの再入国を禁ずる」と言い渡されました。

フィンランドの地に一歩も踏み込んではならないということなので、日本からオランダへ戻るためにヘルシンキでの乗り継ぎが必要な finnair が利用できないということです。つまりすでに購入していた復路便が使えなくなったのです。残された最も安全な手段は、ニッポン発オランダへの直行便を買い直すことです。

私の場合、復路の経由地ヘルシンキでストップオーバーする予定だったので、現地のホテル、交通機関、劇場のチケットも購入済みでした。直行便(KLM)の航空券の買い増し費用に加えて、支払い済み費用が無駄になり、わたしのホリデープランも消えてしまいました…😿

各問合わせ先からの回答

フィンランドでの不法滞在扱いについて、状況を把握して打開策を探すために、日本に到着してから次の各所へ相談しました。

  • 在日オランダ大使館
  • 在日フィンランド大使館
  • 在留ビザ申請の代行者経由で「在蘭の移民専門の弁護士」
  • 在留ビザ申請の代行者経由で「IND(オランダ移民局)」

私の在留ビザ申請は「EU市民の配偶者」であることを理由に行っています(夫は英国籍ですが、現在はまだEU)。在日オランダ大使館からの返信では、私の所持している仮滞在許可証に問題はなく、フィンランドの出入国審査官の判断ミスの可能性が示唆されました。ですが、「シェンゲン圏全域で有効な許可証の一覧」の中に私が所持する仮滞在許可証が載っていないことや、他の多くのシェンゲン国はともかくとしてフィンランドに限っては独自のルールを設けているらしいこと等が、徐々にわかってきました。

ヘルシンキでストップオーバーする夢は、砕かれました…(._.)

問い合わせをした各方面からの回答は次の通りです。

在日オランダ大使館からの返信の要約(意訳)

ヘルシンキの係官が、オランダのビザ申請手続について知らなかったのだと思われます。あなたが踏んでいるビザ申請の手続きは正しいものです。
あなたに強くお勧めするのは、直接IND(オランダ移民局)に問い合わせて、サポートを受けることです。
不幸にも、もしINDがあなたをサポートできなかった場合には、ニッポン発オランダ行きの直行便を利用する必要があるでしょう(ヘルシンキ空港の入国審査で誤解を受けることを避けるために)。

在日オランダ大使館からの返信の要約(意訳)

在日フィンランド大使館からの返信の要約(意訳)

フィンランド国境警備のWebサイト で、フィンランドの仮滞在許可の例として、No.5の質問&回答を参照してみてください。”180日中90日まで他のシェンゲン国に滞在できます。フィンランド発行の仮滞在許可証の所持者は、その滞在許可が有効な国(=フィンランド)での滞在日数を、90日の中に算入しないものとします。他のシェンゲン国での滞在日数が90日に達した場合、シェンゲン国から出るにはフィンランドからの直行便を利用し、フィンランドへ戻る場合もまた直行便を利用してください。”

この種の問題については国境警備局に権限があり、残念ながら大使館やビザセンターではどうすることもできません。

ヘルシンキからシェンゲン国へ入国せずに国際線へ乗り継ぐ(たとえば英国はシェンゲン国ではない)ことは原則的には可能ですが、日本からオランダへの直行便を利用するのが最も安全と言えるでしょう。

在日フィンランド大使館からの返信の要約(意訳)

在蘭の移民専門の弁護士からの回答(又聞きの意訳)

在蘭フィンランド大使館に問い合わせたところ、この種の問題がそれなりの頻度で起こっていることを認識しているとのことです。

シェンゲン全域で有効な仮滞在許可証のリストの中に、当該人(私)が所持している仮滞在許可証は見当たりませんでした。

ここで問題となるのは、オランダ発行の仮滞在許可証を持つ当該人(私)が、オランダに滞在していた日数についてまで「シェンゲン国で消費した日数」とみなされるかどうかです。残念なことにINDは当該人のためにそれを算出することはできません。(=証明できるものがありません)

しかしながら、当該人(私)のようにEU市民の配偶者ということであれば、そもそも90日を超えても滞在が可能なはずです。ですが、恐らくはフィンランドの国境警備局が「EU市民の配偶者であろうともシェンゲン圏内に180日中90日以上滞在した者の入国は一切許可しない方針」へとポリシーを変更したのでしょう。

在蘭の移民専門の弁護士からの回答(又聞きの意訳)

ちなみに、弁護士に相談したのは私ではなく、私のビザ取得を代行してくれていた部署です(夫の会社の人事部の担当者)。

IND(オランダ移民局)からの回答(又聞きの意訳)

当該人の正式な在留ビザの発行準備が整いました!受け取りに必要な書類を準備してください(市役所へ出向く必要あり)。

今回お困りの件もサポートしますから、当局からの次の連絡をお待ちください。

IND(オランダ移民局)からの回答(又聞きの意訳)

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結果と感想

夢と消えたホリデープランと航空券の買い直し

この件に関してINDからのサポートは受けられませんでした。INDからの返答はネガティブなものではなかっただけに次の連絡を期待して(催促もして)待ちましたが、予定の便に間に合いませんでした。ヘルシンキでストップオーバーするホリデープランは夢と消え、別途で直行便を買うことになり痛い出費となりました。もう一度日本へ往復できる額ですからねぇ ><

仮滞在許可証の発行国での滞在については90日の中に算入しないというのが各国の共通した概念のようですが、私の所持していた許可証ではその滞在日数を証明できないようで、それならば別途オランダでの滞在日数を証明する書類を得る手続きが必要だったのかと言えば、とくにそういったものはないようで、不思議なかぎりです。

ただ、オランダ移民局窓口が言った「シェンゲン圏全域で有効」の意味が「シェンゲン圏全域のどの国でも滞在してオッケーだよ」という意味なら、そもそも滞在日数をカウントする必要はないわけです。私も当初は、それくらい無敵な仮滞在許可証だと思っていました。実際、直行便でオランダに再入国する際にパスポートコントロールでこの仮滞在許可証を見せると、係官に「このステッカーを所持しているなら次回からはEU市民の列に並んでね」と言われました。日本国籍でありながら、扱いが「EU市民」とは、無敵感にあふれる仮滞在許可証です。

でも弁護士曰く、この仮滞在許可証は「シェンゲン圏全域で有効な許可証」のリストに載っていなかったとのことですから、実際の効力はオランダ限定ってことですよねぇ…^^;

今後の心構え

なにごとも「関係相手側に事前確認する」精神を大切に、生活していこうと思いました。原因がどこにあろうとも、痛い目をみるのは他の誰でもなく、自分ですからね。とほほ。

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